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2025.06.13

熱中症対策が企業に義務化された件

熱中症対策が企業に義務化された件
2025年6月1日より、企業に対する熱中症対策が義務化され、罰則も設けられることが決まりました。これは、労働安全衛生規則の一部を改正する省令に基づくもので、厚生労働省が発表した内容です。

〇熱中症対策が義務付けられるのは、以下のいずれかの条件を満たす作業です

暑さ指数(WBGT)が28以上、または気温が31度以上の環境下で、
連続1時間以上、または1日4時間以上の作業を行う場合。

これらの条件に該当する作業を行う事業者は、具体的な熱中症対策を講じることが義務となります 。


〇事業者は、以下の3つの主要な対策を講じる必要があります

報告体制の整備

熱中症の自覚症状がある労働者や、異常を発見した者が速やかに報告できる仕組みを整備し、周知することが求められます。

実施手順の作成

作業からの離脱、身体の冷却、医療機関への搬送など、熱中症の重症化を防ぐための具体的な手順を事業所ごとに定め、関係者に周知する必要があります。

対策内容の周知

策定した対策内容を労働者に周知し、万が一の際に迅速に対応できる体制を整えることが求められます。


〇これらの義務を怠った場合、事業者には以下の罰則が科される可能性があります
6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金。

これにより、企業は熱中症対策の重要性を再認識し、積極的な取り組みが求められます。


〇背景と目的
近年、熱中症による労働災害が深刻化しており、2022年と2023年にはいずれも30人以上が死亡しています。その多くは初期症状の放置や対応の遅れが原因とされています。地球温暖化の影響もあり、早期発見と迅速な対応が重要と判断され、今回の改正が進められました。

〇準備の進め方
企業は、以下の準備を進めることが推奨されます

熱中症対策に関する社内ルールの整備。
緊急連絡網や作業離脱手順などのマニュアルの作成。
労働者への教育・研修の実施。
必要な設備や環境の整備。

これらの取り組みにより、労働者の健康と安全を守るとともに、罰則の回避にもつながります。
職場における熱中症予防対策の強化について
〇暑さ指数の構成要素
WBGTは、以下の3つの温度測定値を基に算出されます

湿球温度(NWB):水で湿らせたガーゼを巻いた温度計で測定され、空気の湿度を反映します。
黒球温度(GT):黒色に塗装された球体の温度を測定し、日射や輻射熱を考慮します。
乾球温度(NDB):通常の温度計で測定される気温です。

これらの測定値を組み合わせて、屋外と屋内で異なる算出式によりWBGTが求められます。

〇WBGTの活用方法
WBGTは、労働環境や運動環境での熱ストレス評価に有効です。作業現場に暑さ指数計を設置し、定期的にWBGTを測定することで、適切な熱中症対策を講じることができます。また、環境省の熱中症予防情報サイトでは、全国のWBGTを確認することができ、日常生活や作業時の熱中症リスクを把握するのに役立ちます。
熱中症予防情報サイト
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