SCROLL
スタッフ登録

SPECIALIST PERSPECTIVES

2025.05.23

『派遣法』を読み解く① ~派遣法は何のためにあるのか、変遷の足跡を辿る~

『派遣法』を読み解く① ~派遣法は何のためにあるのか、変遷の足跡を辿る~
『派遣法』

派遣で働いている人、
派遣スタッフを迎えている
企業の方たちはこの法律を
一度は耳にしたことがあると思います。

派遣の第一線にいる
私たち派遣会社にとって
派遣法というのは
とても大切なものです。

そんな派遣法について
複数回にわたって
解説していきたいと思います。

今回は
現代の『派遣法』の形成の流れを
解説していこうと思います。
次回からは実際に
派遣法の解釈を
章ごとに解説していきます。


そもそも私たちが呼んでいる
派遣法とは何なのでしょうか。
正式名称は
『労働者派遣事業の
適正な運営の確保及び
派遣労働者の保護等に関する法律』と呼び、
様々な縛りがありますが
あくまでも
“派遣労働者を護るための法律”なのです。

では実際にどのようにして
この『派遣法』は形づいていったのでしょうか。


そもそも
「派遣」というシステムは
原則的にこの日本で禁止されているのです。
それでも派遣という働き方を選んでいる人は
多いじゃないか、違法なのか、
といった声はあると思います。

なぜ派遣で働くことができているのか
それは『派遣法』の中で
“限定的に”派遣という働き方が
認められているのです。
縛りが多いと感じるのは
そういったある意味
派遣が“特例”となっているからなのです。
では派遣労働というシステムは
どのように形成されたのでしょうか。

派遣というものは「業務請負」が
形を変えて成していったものなのです。

1947年にこの「業務請負」は
アメリカで発症したとされています。
外資系企業が日本に進出してくる中で
この「業務請負」という文化も
日本に浸透してくるのです。

主な目的としては
「社内の人材では対応しきれない業務を、
“専門的”な知識や技術を持つ外部の人材で補う」
ということになります。
そしてグローバル化や
技術革新が進む中で
より多様な人材活用を目指すために
派遣法が成立するのです。

派遣法は1986年に施工されましたが、
当初は「一時的な知識や技術を持った人材の確保」
を目的としていました。
当時の日本は
「新卒一括採用」「終身雇用」が
当たり前の時代です。

ですのでこういった派遣での働き方というのは
あくまでも「正規雇用社員の雇用をを脅かす存在にしない」
ことが大前提にありました。
現代のスポットワークに近い働き方だったのです。

なので、「派遣」として働くことができるのは
専門13分野(すぐに3業種が足されて16分野になります。)
のみだったのです。

現在では約半数以上を占める
事務作業などは派遣業は禁止されていたのです。
ではどのように
この規制は緩和されていったのでしょうか。

派遣法制定以来、
人材の需要が高まりますが、
1990年代にバブルが崩壊すると
日本経済は低成長期に入ります。
それに伴い、派遣に対するニーズも
変化していくことになるのです。

そこで国が民間企業の活力を引き出すための
規制緩和を進め新たに10の業務が加わったのです。
この派遣労働が
可能な業務だけを指定するシステムは
「ポジティブリスト方式」
と呼ばれました。

景気の低迷が長く続く中
グローバル化を進めるためにも
派遣法の緩和もさらに進みます。

今までの「ポジティブリスト方式」から
原則自由で禁止する業務だけを指定する
「ネガティブリスト方式」に転換されたのです。

医療従事者や士業などの専門的な資格や
スキルが求められる職種に関して
派遣労働での業務が禁止されていったのです。

この2005年ごろに
ついに現代の「派遣労働」が
形成されました。

派遣労働者はそこから
急激に右肩上がりで
増加していくことになります。

また、派遣労働者が
増加をたどっていく中で
「あくまでも派遣」
「一時的な業務のみを任せる」
といった派遣労働者は
“軽視”される傾向が
増えていってしまったのです。

その中で派遣労働者を保護する動きへと変化していくのです。
こうして現在の『派遣法』が形成されたのです。
PAGETOP